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相続事件

ごあいさつ

相続の案件は多岐に渡りますが、時系列で大まかに分ければ、3段階に分けられます。

[1] 相続前の相談

遺言、成年後見など

「将来、子供たちとの間で相続の争いが起きないように遺言書を書いておきたい」
「面倒を見ている親が認知症になってしまい財産の管理をする必要があるので後見制度を利用したい」
「自分に何かあったときのために信頼のできる人に将来、財産を管理してもらえるようにしておきたい」

厳密には相続ではありませんが、将来の相続に関連する問題などが考えられます。

[2] 相続時の問題

遺産確認、遺言無効、遺産分割など

「本人が亡くなって相続に関する話し合いがまとまらないので何とかしたい」
「遺産がまだあるはずなのに相続人の一人が隠しているので遺産の範囲を明らかにしたい」
「遺言書があるが偽造されたものだと思うので争いたい」など

相続に直接かかわる問題です。

[3] 相続後の問題

遺留分減殺、共有物分割など

「遺言書で特定の人にだけ遺産が相続されてしまったので遺留分(最低限もらえる取り分)減殺請求をして遺産を取り戻したい」
「遺産分割はできたけど土地や建物が共有のままでは意味が無いので売却をしてお金に換えたい」など

弁護士としては、①の段階で相談に来て頂ければ、②の相続時以降に問題が起きないように適切なアドバイスをさせて頂いたり、法的な手続をとって対策をすることが可能なのですが、実際には②以降のときに相談に来られるお客様が非常に多いです。

これは、②の段階で相続に関する問題が明らかになることが多いため、お客様もこの②の段階で初めて弁護士に相談しようという気になるからだと思われます。

しかし、相続が発生してからの問題解決には、時間と労力、費用がかかる上、相続人間で泥沼の争いとなりやすく、仲の良かった兄弟・親戚同士が遺産をめぐって憎みあい、関係を悪化させていくのは何とも悲しいことです。

現在に限らず、将来的な相続の問題で悩んでおられる方は、できる限り早く弁護士に相談することで未来に起こりうる相続人間での争いを避けることができます。迷ったら遠慮なく専門家に相談されることをお勧め致します。

相続の時系列チャート

①相談者が相続財産を持っている本人なのか、
②それとも相続人などご家族の方なのか、
③ご本人が亡くなっているのか、
④相続人間で話し合いをしているのか
といった段階に分けて、ご説明をさせて頂きます。
まずは下記のチャート図に従って、ご希望の項目をクリックしてください。該当ページへとご案内をさせて頂きます。

① 相談したい方は将来、財産を残すことを考えているご本人ですか?
② 相談したい方がご本人ではなく、ご家族などの場合、ご本人が生きておられますか?
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遺言書について

遺言書の作成

遺言書があると原則、遺言書に書いてあるとおりに相続がなされるということになります。
相続人に平等に遺産を分け与えても良いし、特定の誰かに全ての遺産を相続させても自由ということになります(ただし、後述の遺留分減殺請求が行使される可能性はあります)。
しかし、遺言書ならばどんな形式の書面でも良いかというと、そんなことはありません。
決められた形式で作られていないと、その遺言書は法律上、無効となってしまいます

遺言書には大きく分けて「自筆証書遺言(ご本人が手書きで書いたもの)」、 「公正証書遺言(公証役場で作成されたもの)」の2つがあります。

そこで、今回は、誰でも簡単に作れる自筆証書式遺言(自分の手で書く遺言書のこと)の書き方を簡単に説明します。

自筆証書遺言(ご本人が手書きで書いたもの)
自筆証書式遺言の書き方

書き方は非常に簡単で、
①タイトルは「遺言書」とする。
②内容は「~に~を相続させる」と誰に何の遺産を相続させるのかが分かる内容にする。
③日付を必ず記入する。
④氏名を署名し、押印をする。
⑤遺言書の全ての文章を自筆で書く。

基本的に上記の5点を守れば良いのです。

さて、③~⑤だけ強調したのは理由があります。

③の日付は大して重要ではないように思えますが作成日付の無い遺言はなんと無効となります。これは、遺言書というものは後に作られたものが先に作られたものより優先するという原則があるため、日付で作成した時を確定する必要があるからです。何年の何月何日に作られたかまでしっかり記載しましょう。ちなみに日を「吉日」と記載した遺言は日付が曖昧との理由で無効となるので注意してください。

④の氏名の署名・押印は誰の遺言であるかを特定するために必要となります。押印は実印である必要は無く、判例上も認印でも指印でも構わない扱いとなっています。

また、⑤も重要なのですが、遺言書の全ての文章を自筆で書かないと自筆遺言書は無効です。ワープロで作ったり、誰かに口頭で筆記してもらった遺言は無効です。これは、その人が書いたことを筆跡で証明するために必要とされています。自筆証書遺言(自分の手で書く遺言)である以上、当たり前のことなのですが、逆に言うと健康状態が悪化するなどして自分で字を書くことができない方は自筆証書遺言を作ることはできません。

まずは、上記の自筆証書遺言だけでもお作りになっておくことで、将来、相続人同士が相続の話し合いで争うことを避けられる可能性があります。

とりあえず遺言書を作っておきたい方は、ご自分で自筆証書遺言を作られてみてはいかがでしょうか。

 

公正証書遺言(公証役場で作成されたもの)

当事務所では原則として、公正証書遺言の作成を行っております。
その理由は、公正証書遺言は無効とされることがほとんどないからです。
確かに、自筆証書遺言は誰でも簡単に作れて費用もかからず内容の変更もすぐにできますし、新しく作り直すことも気軽にできます。しかし、逆に言うと、本当にその人が作った遺言書なのかどうかが争いになりやすいのです。例えば、遺言書が作られたときに既に遺言者の病状が悪化していた場合などは、後で本当に遺言者が遺言を作成したのかが争いになったりします。
また、せっかく遺言書を作っても形式が守られていないことに気がつかずに無効となったり、紛失、偽造や変造のおそれもあります。さらに、自筆証書遺言は、本人が死亡した後に家庭裁判所で内容を確認する検認の手続も必要となります。
これに対して、公正証書遺言は作成に費用こそかかりますが、公証人と2名の証人が立会いの下に作成されるため、方式の不備で無効になることはなく、遺言者の意思もきちんと確認されるため、後で無効の主張をすることはほぼ不可能です。
公正証書遺言書は公証役場で保管されるため、紛失や変造の危険もありません。また、家庭裁判所での検認手続も不要です。加えて、自筆の必要は無いため字が書けない状態でも話ができれば作成できますし、公証役場へ行くのが困難な方の場合は公証人が自宅や病院まで出張してきてくれます(ただし、出張料が別途必要となります)。

  メリット デメリット
自筆証書式遺言 ・費用がほとんどかからない。
・誰でも簡単に作れて内容の変更も新規作成も容易。
・形式を守れていない場合は無効になる。
・遺言を遺言者が作成したかどうかについて後々に争いが生じやすい。
・紛失、偽造、変造の危険がある。
・遺言者の死亡後に家庭裁判所での検認手続が必要。
公正証書遺言 ・公証人が関与するため形式面で無効となることは考えられない。
・遺言者の意思を公証人と2名の証人が確認しているため遺言が無効となるおそれが極めて少ない。
・公証人が遺言書を保管するため、紛失、変造のリスクがない。
・検認手続は不要。
・字が書けない人でも作成でき、公証人が自宅や病院まで出張して作成することも可能(出張料が別途必要となります)。
・費用がかかる。(※1)
・後で作成された遺言書が優先するため、公正証書遺言を作ったあとに作られた遺言書であれば自筆証書遺言であっても後者が優先する。(※2)

※1 費用がかかる
当事務所の場合、遺言書作成及び証人としての立会い費用として20万円~(消費税・交通費別途)
公証役場での作成手数料も必要(遺言内容、遺産の総額により数万円~)
トータルで30万~40万円程度はかかることが多い(当事務所での実例)。

※2 後で作成された遺言書が優先するため、公正証書遺言を作ったあとに作られた遺言書であれば自筆証書遺言であっても後者が優先する。 
したがって、公正証書遺言を作っても、遺言者が新しい遺言書を作ってしまうと、せっかく作った公正証書遺言は効力がなくなってしまいます。もっとも、現在の法律制度で、遺言者が新しい遺言書を作ることを禁止することはできません。遺言は遺言者の自由な意思に基づき作ることが許されているものですから、これはやむを得ないことだと言えます。

遺言書を作る場合に一番悩むのは費用の点ではないかと思われますが、弁護士としては、費用がかかるとしても、将来、相続での争いが生じにくくなるメリットが非常に大きいことから公正証書遺言を作ることをオススメしています。

コラム:
遺言書は自分には必要がない?

弁護士として相続の問題に取り組んでいて最近よく思うのは、
「亡くなった方は、せめて遺言書を作っておいてくれたらな…」
ということです。

遺言書があると、原則、その遺言書に書いてあるとおりに相続がなされます。そのため、相続人間で遺産分割の話し合いでもめることが無くなるため、弁護士としては遺言書があると大変助かるわけです。

ところが、かなり多くの方は、「相続人は家族なんだし、自分が死んでもみんなで仲良く話し合って決められるから大丈夫だろう」と考えておられるのではないでしょうか?

家族への愛情、信頼から上記のようにお考えになることは気持ちとしては非常に良く理解できます。
しかし、家族も結婚するなどして自分だけの家庭を持ち、親と離れて暮らすようになると考え方も徐々に変わっていきます。特にお金が絡むと、それまで大変仲の良かった親子、兄弟、親戚であっても話し合いが上手くいかず、修復できないほど関係が悪化してしまうことも少なくありません。

自分が亡くなった後も、遺産の問題で争わないで欲しい、残された家族で仲良く過ごして欲しいとお考えの方は、費用がかかってでもぜひ、遺言書を作成されることを強くオススメいたします。

遺言書の修正

既に遺言書を作られた方も、年月が経つにつれて内容を直したいということはありえます。遺言書は、作成したご本人が内容を修正したい場合、いつでも自由に内容を変更することができます。
しかも、公正証書で作成した遺言があったとしても、自筆証書遺言で内容を自由に追加・修正することも可能です。
すなわち、公正証書か自筆かで優劣関係はなく、あくまでも後に作られた遺言書の効力が先に作られた遺言書に優先するという関係にあるわけです。
ただし、当事務所では、可能であれば公正証書で作成した遺言書の追加・修正・削除は、公正証書ですることをお勧めしています。これは、自筆証書遺言の効力は後々、相続人間で争いになりやすいことが理由です。

遺言書の検認について

自筆証書遺言については、遺言書が発見されてから速やかに家庭裁判所で裁判官による検認を受けなくてはなりません。この検認という手続は、単純に言えば、裁判官が相続人を裁判所へ呼んで、全員の前で遺言書の内容を確認するという作業です。
検認を受ける際には、遺言書が入っている封筒の封を開けずに裁判官が封を切って内容をあらためます。ここで注意しなくてはいけないのは、検認をしたからといって、自筆証書遺言書の有効・無効が決定されるわけではないということです。検認は、遺言の存在とその内容を相続人等に知らせるとともに、遺言書の状態・日付・署名など、検認日における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続であり、遺言書の効力そのものは訴訟等で争う余地があります。なお、公正証書遺言の場合にはこの検認手続は必要ありません。

遺言書の効力を争いたい

遺言書はご本人の意思を表示したものですので、仮に遺言書がご本人の意思を反映していなかったり、偽造されたものである場合、無効ということになります。
この場合、無効を主張する人は、裁判所に遺言無効の裁判を提起することができます。もっとも、公正証書遺言で作られている場合には、公証人がご本人の意思を確認しているため、無効となることはまずあり得ません。
遺言書の有効、無効が争いになるケースはほとんどが自筆証書遺言の場合であり、ご本人の筆跡、作成時期のご本人の健康状態、作成内容の合理性などが争点となります。

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後見制度について

ご本人がまだご存命であっても、だんだん年を重ねて財産の管理や身の回りのことについて将来に不安が生じているというケースは増えていく傾向にあります。こうした不安を抱えている方の力になれるのが成年後見制度です。成年後見とは、わかりやすく説明しますと、判断能力が衰えてしまった人のために、後見人がその人に代わって財産を管理してもらうという制度です。ようするに、いざというときにあなた以外の別の人があなたの財産がなくなってしまわないように管理してくれるという制度なのです。
この成年後見制度を上手に活用することで、健康状態が悪化したり、判断能力が衰えてしまったときに、ご自分の財産を適切に管理し、財産の流出を防ぐことができます。
なお、判断能力の低下の度合いに応じ、後見、保佐、補助という3つの制度がありますが、以下では判断能力を欠いた状態にあるときに利用される成年後見制度について、ご説明をします。

法定後見

後見制度には、法定後見任意後見の2つの制度があります。本人、配偶者、4親等内の親族(ご家族の方)などが、家庭裁判所に対して、後見開始の審判を申し立てることにより開始するのが、この法定後見です。裁判所の裁判官が本人の判断能力がないと判断した場合、裁判所の審判によって後見が開始します。
後見制度が開始しますと、後見人が選任されます。この後見人が、本人の代わりに財産を管理し、本人の行為を代理して契約をしたり(病院との間での医療契約、家賃等の各種支払)、本人がしてしまった行為を取消す(知らない間に本人が財産を処分したり、日用品ではない高価な物品を購入してしまったケース)といった活動をして、本人の財産管理を行っていくことになります。
この法定後見は、すでに判断能力を失ってしまっている人が、即時に支援を受けるための制度といえます。

民法
『後見開始の審判』
第7条
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
『成年被後見人及び成年後見人』
第8条
後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
『成年被後見人の法律行為』
第9条
成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
  メリット デメリット
法定後見 ・現在、すでに判断能力を失ってしまっている人に対して適切な支援を受けられる
・後見人、後見監督人が選任され、本人の財産管理の状況を報告する義務があるため、適切な管理が期待できる。
・親族間で本人の財産管理をめぐって意見が食い違っていたり、すでに争い生じているようなケースでは、裁判所に適切な後見人を選んでもらうことで紛争の発生・拡大を防止できる。
・裁判所へ必要な申立書類と戸籍等の資料を用意して申し立てないと利用することができない。
・裁判所が後見人を選ぶため、本人の希望している人が後見人になれるとは限らない
→他の親族から異議が出ると、選任希望者がいても、裁判所の判断で別の人間が後見人となる
・弁護士、司法書士が後見人に選任されると、後見に対して報酬を支払わなければならない
→財産の金額に応じて、報酬は決まります(例:1億円以上の資産がある方ですと、月額5万円~)
・後見制度は本人のために適切な財産管理をする必要があるため、後見人・後見監督人と普段、身の回りの世話をしている家族との間でトラブルが起きやすい(本人のお金が自由に動かせないため)
・一度、後見が開始すると、本人の判断能力が回復するなどの事情がない限り、取り消すことはできない

任意後見

任意後見制度とは、本人が自分の意思で、将来、後見人になってもらう人を決めておく制度です。自分の意思(任意)で自分の信頼する人に財産管理を任せることができるという点が最大の特徴です。この任意後見制度を利用するには、公正証書の形式で任意後見契約を締結しておかなくてはなりません。
任意後見人の行う活動自体は、法定後見人と同じであり、本人のために財産を適切に管理することが主な役割となります(ただし、取消権はありません)。任意後見人に対しては、任意後見監督人が必ず選任されますので、任意後見人の財産管理はより厳しい目で裁判所や任意後見監督人のチェックを受けることになります。

任意後見契約に関する法律
(定義)
第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。
任意後見契約 委任者が、受任者に対し、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、その委託に係る事務について代理権を付与する委任契約であって、第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる旨の定めのあるものをいう。
(任意後見契約の方式)
第三条
任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。
(任意後見監督人の選任)
第四条
任意後見契約が登記されている場合において、精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況にあるときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見受任者の請求により、任意後見監督人を選任する
  メリット デメリット
任意後見 ・自分が信頼する人をあらかじめ、後見人として選んでおくことができる。
・弁護士などの専門家や法人なども後見人になることができる。
・本人の判断能力に問題がないうちは自分で財産管理をでき、問題が発生したときには任意後見制度を転ばぬ先の杖として利用することができ、いざというときの備えとなる。
・任意後見監督人の費用はあらかじめ無報酬としておくことができる(コストダウン)
・本当に信頼できる人を選任しないと自分の財産の管理に問題が生じうる(ただし、任意後見監督人が選任されることでこうした事態は防止できます
・本人の判断能力に問題がないときに公正証書を作成しないと利用できない
コラム:
“こう思ってらっしゃる方はいませんか?”

・今は元気だし、そんなに急がなくても大丈夫だ
→健康第一ですが、急に体調が悪化することもあります。元気なうちにこそ準備しておくことで安心して暮らすことができます。また、先ほど、ご説明したとおり、任意後見制度は、判断能力に問題がない状態のうちでないと利用することができません。

任意委任契約

これまで説明をしてきた2つの後見制度は、いずれも判断能力がなくなった場合に利用できる制度であり、まさに非常事態に備えたものといえます。
しかし、実際のケースとして、判断能力はあるものの、体が弱ってきたり、病気になったりしたときに、自分の財産を管理する手助けが欲しいという事態は往々にしてありうるところです(例:病気で長期入院してしまったり、高齢で一人暮らしのために一人で契約や支払いなどをすることが大変である)。
こうした場合に利用できるのが、任意委任契約です。これは、ご自分の意思で財産の管理を自分の信頼する人に依頼し、受任者がこれを管理するという契約です。

民法
(委任)
第643条
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
(受任者の注意義務)
第644条
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
(受任者による報告)
第645条
受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。

この任意委任契約は、ご本人の意思で、自分の財産の管理を他人に任せるというものであり、財産管理の範囲や誰を管理者にするかについては自由に決めることができます。
任意後見契約と任意委任契約は、2つともセットで公正証書にして作成をすることが多いです。
しかし、以下に挙げるように、メリットとデメリットがあるため、任意委任契約を締結する場合には、慎重に受任者と管理の範囲を決定する必要があります。

  メリット デメリット
任意委任契約 ・後見制度と異なり、判断能力がある状態でも自分の財産の管理を他人に任せることができる
・自分の意思で管理者及び財産管理の範囲を決めることができる
・任意後見契約と任意委任契約の2つを締結しておくことで財産管理を隙間なく行うことができる
・後見制度と異なり、いつでも契約を解除して辞めることができる
・本当に信頼できる人を受任者にしないと財産管理が適切に行われない可能性がある
・財産を管理する受任者が任意後見を申し立てるべき状態になっても申し立てずに財産を管理し続けるなどのトラブルが発生しうる
・財産管理の範囲を明確にし、限定しておく必要がある
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遺産分割協議書

家族が亡くなり、遺産をどう分けるのかについて、相続人の間で話し合いが無事にまとまった。
さて、そのあとに作らなくてはならない書類が、遺産分割分割協議書です。

遺産分割協議書は、遺産を誰にどのように分けたのかを記載した書面であり、遺産分割の内容を法律上、正式に証明する書面なのです。

遺産である不動産、現金・預貯金、株式・有価証券などは相続人同士で分けることが決まったとしても、預金を引き出したり、株式の名義変更や不動産(土地や建物)の登記手続をしなくてはなりません。

そこで、預金を引き出すには銀行へ、株式の名義変更は会社へ、不動産の登記は法務局へ行って手続をするわけですが、そのときに遺産分割協議書がないとそもそも変更の手続を受け付けてくれません。

遺産を管理している銀行や会社、登記を扱う法務局は、万が一にも間違えるわけにはいかないわけ、正式に作られた遺産分割協議書の内容を見て、遺産が誰にどのように相続されたのかを確認した上でないと名義の変更手続には応じてくれないのです。
※ ちなみに公正証書遺言がある場合には遺言書が遺産分割協議書と同じ役割を果たすことになります。(遺言書は名義変更のときにも力を発揮するわけです)。

このように遺産分割協議書は、協議書に書かれている内容のとおりに遺産分割が行われたことを証明する大切な書面であり、これがないと銀行での預金の名義変更や解約、株式会社での株式の名義変更、証券会社での有価証券の名義変更、法務局での不動産の登記などができません。

上記のように、実際に遺産を管理している金融機関等が内容を確認して間違いなく有効に遺産分割が行われているかどうかを確認します。そのため、遺産分割協議書は漏れが無いようにきちんと作成しないと金融機関等は実際の遺産分配の手続に応じてくれません。

したがって、遺産分割協議書は不備が無いように、基本的に弁護士などの専門家に依頼して作成をしてもらった方が安全ですが、相続人全員が合意して自分たちで作ることも可能です。

その場合の主な注意点は、下記のとおりです。

①遺産分割の対象となる遺産が漏れなく記載されていること
②相続をする相続人が全員記載されていること
③自筆での署名と実印での押印
④各ページに実印で契印をすること
⑤印鑑証明書の添付
⑥住民票及び印鑑証明書記載の住所を記載すること
⑦相続人の人数分作成をすること

①と②は遺産分割協議書が遺産を分割する以上、誰にどの遺産を分割するのか記載しますので当然に必要となります。相続財産が漏れていたり、後に発見された場合に備えて、協議書に記載のない遺産の分配についても記載をしておくことが望ましいです。

③~⑥については、形式上、必要とされており、遺産分割が終局的な財産の移転であり相続人本人の意思に基づいて作成されたことを確認するため、③の署名はできるだけ自筆、押印は必ず実印でなければなりません。④の各ページとページの間に実印で契印をすることも必要です。⑤は印鑑証明書により本人の実印による押印であることを確認するため、3ヶ月以内の新しい印鑑証明書も添付しなくてはなりません。⑥の住所は住民票、印鑑証明書に記載されている住所と一致しているか確認するので、正しい住所を記載しなくてはなりません。

⑦は、遺産分割協議書が相続人それぞれの遺産分割を証明する書面であるため、人数分を作成し各自が1通ずつ保管することが原則となります。

なお、経験上、誤記などがあった場合にすぐに訂正ができるように捨印を押してもらうことをお願いすることもあります。さらに万全を期して公正証書により作成することもあります。

ちなみに、遺言書がある場合でも相続人の間で話し合って遺言書と異なる遺産分割をすることも可能ですが、この場合にも遺産分割協議書を作ることになります。

このようにして何とか遺産分割協議書が完成したとしても、実際に金融機関などで名義変更などの手続をするには戸籍謄本などの書類も必要になり、非常に手間がかかります。地方銀行などによっては専用の書類に相続人全員の署名・押印を求められることもありますので、事前に確認をしておくべきでしょう。

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遺産分割調停・審判

相続人間で話し合いをしたがどうしてまとまらない、そもそも話し合いができないというような場合、協議をして遺産分割協議書を作成することは不可能ですので、遺産を分け合いたいと思う方は、家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てることになります。伊佐分割調停は、家庭裁判所が相続人の間に入って、遺産をどのように分けるかについて話し合う手続です。この遺産分割調停は、①遺産の範囲の確認(※なお、そもそも遺産の範囲について争いがあるような場合には、調停の前に遺産確認の訴訟を提起する必要がありますので、弁護士によくご相談下さい)。→②遺産の評価額の決定(不動産・現金・動産などについて価格を評価)→③分割方法の決定という流れで、相続人全員が合意に至れば、調停が成立し、遺産が分割されます。遺産分割調停は、家庭裁判所が仲介して分割方法を決める手続ですので、原則として相続人の法定相続分に基づいた割合で遺産が分割されることになります。ただし、特別受益(相続人の中に生前に遺産を前渡しで贈与されている人がいる)や寄与分(相続人の中にご本人の財産の形成維持に無償で貢献した人がいる)の主張があれば考慮されることになります。
上記の遺産分割調停で話し合いがまとまらない場合、遺産分割審判へと移行し、強制的に家庭裁判所の裁判官が審判で遺産を分割するという手続に移行することになります。

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共有物分割

相続によって、遺産は分割されたものの、土地や建物について共有となっている場合、共有者は他の共有者に対して共有物の分割を求めることができます。
分割の方法は、①換価分割(不動産を売ってお金を分ける方法)、②代償分割(共有者が他の共有者の持分をお金で買い取る方法)、③現物分割(主に土地について分筆をして分ける方法)があり、話し合いがまとまらなければ、訴訟を提起し、判決において決定されることになります。

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